ごあいさつ 星マリナ
セキストラの地を訪ねてここ数年、祖父・星一が100年近く前に購入し開発を夢見ていたペルーの土地について調べています。 首都リマから小型飛行機で約1時間。 アンデス山脈をこえた、アマゾンジャングルの入り口。 ティンゴ・マリア市の、ツルマヨ川そばの森林です。 調査の過程でこれまでに見てきたものは、古い新聞記事や社報、登記簿や報告書、ペルー人関係者の遺族が保管していた地図や写真や手紙などなど。 そんな事実の断片をパズルのようにくみあわせて謎をといていくうちに、ハタと気づきました。 あ、そうか。だから「セキストラ」の舞台はペルーなんだ! というのも、「セキストラ」執筆前に、父は今の私と同じような作業をしていたようなのです。 ペルーの土地に関するいろいろな資料を読み、現地からの報告を受け、それらを頭のなかでつなげていった経験から、この構成を思いついたのではないか。 そして主人公の那須完一(ナスカ+星新一?)は、なれなかった自分を投影した人物なのではないだろうか。 星製薬の社長だった星一は、1951年、ペルーへ2回目の視察にむかう途中のアメリカで急死。 その6年後、会社をつぐことを期待されて生きてきた30歳の星新一は、絶望的な債務整理をほぼおえて、「セキストラ」を書きました。 このみじかい小説がみとめられて作家となり、本人すら気づいていなかった才能が一気に花ひらいていったのは、幸運というか、奇跡というか、必然というか。 そして私は考える。 すべてにおいて完璧な那須完一さんは、今も経営者として活躍しているのだろうかと。 まわりが自分に期待する理想像を完一社長に丸投げしたかのような星新一は、自由にはばたいて、ちがう分野でがんばったのだと、小説の主人公に教えてあげたい気分になるのでした。 さて、そんな「セキストラ」の発表から来年で60年です。 生誕90周年の今年、そしてデビュー60周年の来年を祝って、徳間書店より『きまぐれ星からの伝言』(牧眞司・編)が発売になりました。 YOUCHANのカバーイラストを見るにつけ、あー、本当にこんなふうに、父のまわりにはいつも小説のキャラクターがいたのかもしれないなーとうれしくなります。 星新一の、そして牧さんの、SFへの想いがつまった本です。 おたのしみいただけると幸いです。 そして、もうひとつ。 きょうのホシヅルの日にあわせ、ホシヅル図書館をリニューアルいたしました。 現在市販されている書籍以前の書影を展示した新設ギャラリー Out of Print で、デビュー60年の作家の軌跡をご覧くださいませ。 リニューアルにあたり多大なるご協力をいただいた高井信さんと和田信裕さんには「ホシヅル図書館司書」の称号(?)を贈らせていただきました。(^.^) 読者のみなさまにとって、わかりやすく、使いやすくなっていることを祈ります。 これからもリストやギャラリーを充実させていく予定ですので、ご活用ください。
<注記>
2016年9月6日(ホシヅルの日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
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