博士町と呼ばれた曙町(文京区)で、大好きなおじいさん、おばあさんと暮らしたなつかしい記憶と、おおくの文献と取材にもとづく、私的でかつ客観的な評伝です。
準備と執筆に3年をかけた本書は、星新一の作家人生で最長の作品(原稿用紙1300枚)となりました。
良精は、戊辰戦争で朝敵とされた長岡藩の武士の次男。
長岡から仙台まで徒歩で逃げて生きのびた9歳の少年は、明治維新後、苦学して東大医学部を首席で卒業。
ドイツへと留学します。
生涯を研究に捧げて日本人のルーツに迫り、解剖学の泰斗とよばれるようになりました。
のちに星新一が「人類を書く作家」となった背景がよくわかる本書は、実は星新一の自伝でもあるのでした。
単行本の刊行は1974年。
本書に出てくるおもな親族と、星新一との関係 |
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小金井良精(解剖学者・人類学者) | 母方の祖父 |
小金井喜美子(翻訳家・歌人) | 母方の祖母 |
森鷗外(文豪・軍医) | 大伯父(喜美子の兄) |
星一(星製薬社長) | 父 |
小林虎三郎(米百俵の逸話で有名な長岡藩士) | 良精の母の兄 |
森於菟(解剖学者) | 喜美子の甥(鷗外の長男) |
2018年6月
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